業務内容

労働時間制度再構築

リモート勤務時代を迎えつつある現代において、現在法律上で認められている変形労働時間制度に照らし、各企業様の実態に最も適した制度の再構築をサポートします。

11か月単位の変形労働時間制 (労働基準法第32条の2)

[説明資料]1か月単位の変形労働時間制

一旦「特定」された労働時間の変更の可否

変形期間に入った後に使用者が一方的に変更できるかについては、「業務上の必要のある場合は、指定した勤務を変更する」といった包括的変更条項について、無効とされています。変更できる事由を限定し、就業規則等に明記すると共に、変更によって割増賃金支払が発生する場合があり得ることに留意する必要があります。

「1か月単位の変形労働時間制」に関連する裁判例
【高裁:JR西日本事件】

一旦勤務指定をした後にこれを変更して勤務させたことにつき、従業員らが、変更後の勤務時間が変更前の勤務時間を超過する部分については、1日7時間45分を超え8時間までの部分は労働協約に基づき、8時間を超える部分は労基法に基づき、それぞれ時間外労働として割増賃金支払請求権を有するとして、会社に対し従業員らの同超過部分の時間外労働に対する割増賃金の支払を請求し、主張が認められました。

<ポイント>
労働者の生活に影響を与え不利益を及ぼす恐れがあるから、勤務変更は、業務上のやむを得ない必要がある場合に限定的かつ例外的措置として認められる。使用者が任意に勤務変更と解釈し得るような条項では、同条の要求する「特定」の要件を満たさず無効である。
労基法第32条の2が変形労働時間制における労働時間の「特定」を要求している趣旨に鑑み、一旦特定された労働時間の変更が使用者の恣意によりみだりに変更されることを防止するとともに、労働者にどのような場合に勤務変更が行われるかを了知させるため、変更が許される例外的、限定的事由を具体的に記載し、その場合に限って勤務変更を行う旨定めることを要すると解すべきである。

2フレックスタイム制 (労働基準法第32条の3)

[説明資料]フレックスタイム制

3事業場外のみなし労働時間制 (労働基準法第38条の2)

[説明資料]事業場外のみなし労働時間制

「みなし労働」に関連する判例・裁判例
【★最高裁:阪急トラベルサポート事件】

海外旅行の添乗業務に従事していた派遣労働者が、派遣元会社に対して時間外割増賃金請求を行い、派遣元会社は派遣労働者には事業場外みなし労働時間制が適用されると主張するも同制度適用を受けないとされました。一審では、派遣労働者は単独で添乗業務を行っており、会社から貸与された携帯電話を所持していたが随時連絡したり、指示を受けていないこと、また会社に出社することなくツアーに出発し、帰社することなく空港から帰宅することや、アイテナリーおよび最終日程表の記載はおおまかなもので、そこから労働時間を正確に把握することはできないこと等によれば、本件添乗業務は『労働時間を算定し難いとき』に該当するとしたが、高裁は逆の判断をし、最高裁は二審判決を支持しました。

<ポイント>
●本件添乗業務は、旅行日程が会社とツアー参加者との契約内容として、その日時や目的地等を明らかにして定められることによって、業務の内容があらかじめ具体的に確定されている。また添乗員が自ら決定できる事項の範囲及びその決定に係る選択の幅は限られている。
●会社は、添乗員に対し、マニュアルにより具体的な業務の内容を示し、これらに従った業務を行うことを命じている。ツアーの実施中においても、携帯電話の電源を入れておき、ツアー参加者との間に問題が起こった場合には報告して指示を受けることを求めている。
●会社は、ツアーの終了後に添乗日報によって業務の遂行の状況等詳細かつ正確な報告を求めているが、その報告の内容については、ツアー参加者のアンケートの参照や関係者に問合せをすることによってその正確性が確認することができるものになっていること。

「みなし労働」に関連する判例・裁判例
【地裁:光和商事事件】

営業社員が使用者に対して時間外労働割増賃金請求を行い、使用者は事業場外みなし労働時間制により所定労働時間したものとみなされると主張するも同制度適用を受けないとされました。

<ポイント>
●営業社員については毎日朝礼が行われてから業務が開始となっている
●朝礼の際に、役員から営業方針等報告・指示がある、当日の行動予定表の作成し、当日朝に提出することとなっている
●出先から営業社員から報告を受けた際には、行動予定表の該当欄に線を引いていた
●営業社員全員に対して会社の所有する携帯を持たせていた
●タイムカードにより従業員の出勤・退勤を管理していた

4.裁量労働制
4-1専門業務型裁量労働制 (労働基準法第38条の3)

研究・開発等の高度専門職の労働者については、当該業務の性質上、その遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があります。そのため、業務遂行の手段および時間配分の決定等に関し具体的な指示をしないこととなる業務に従事する労働者が対象となります。
また、業務に対しても施行規則で規定されており、全1日の業務全て裁量的労働に従事することが要件で、対象外の他の一般業務を行う場合には適用されない点に特に注意が必要です。

[説明資料]
専門業務型裁量労働制の対象業務
(法令等で定める19業務)

導入の要件

過半数労組がある場合にはその労組、無い場合には過半数代表者と、次の書面協定をすること。

  1. ① 労使協定によって法令等で定める、19業務の中から対象業務および従事労働者の範囲を定めること
  2. ② 当該業務の遂行の手段および時間配分の決定等に関し具体的な指示をしないこととする旨を定めること
  3. ③ 1日当たりのみなし時間を定めること ※法定労働時間内(1日8時間)としても、それを超える時間(1日10時間)としても差支えない
  4. ④ 対象となる労働者の労働時間の状況に応じて実施する健康・福祉を確保するための措置の具体的内容を定めること
    健康・福祉確保措置の例・・・
    特別休暇の付与、健康診断の実施、有給休暇についてまとまった日数連続取得を促進、産業医による保健指導
    この健康・福祉確保措置を講ずるにあたって勤務状況をどのように把握するのかについては、出退勤時刻または入退室時刻の記録により行うことが望ましいとされており、安全配慮義務の使用者責任の観点から、勤務状況および健康状態によっては対象者に対して適用の見直しを行うことが望ましいことに留意することが必要です。
  5. ⑤ 対象となる労働者からの苦情の処理のため実施する措置の具体的内容を定めること
    苦情の申出窓口および担当者・苦情の範囲・処理の手順を明らかにすることが望ましいとされています。苦情の申出窓口については、使用者や人事担当者以外とする等、対象者が苦情を申し出やすい仕組みとすることや、苦情の範囲については対象者に適用される評価制度や賃金制度等処遇全般の事項について含むことが望ましいとされています。
  6. ⑥ 労使協定の有効期間を定めること(不適切な運用防止のため3年以内とすることが望ましい)
  7. ⑦ 対象労働者の労働時間の状況、健康・福祉確保措置の状況、苦情処理措置の状況を労使協定の有効期間中と有効期間満了後3年間保管すること
  8. ⑧ 労使協定を所轄労働基準監督署へ届出ること

安全配慮義務の立場から、使用者の労務管理責任を認める裁判例・判例
【高裁:電通事件】

「Aの長時間労働が控訴人の強制によるものではないとしても、控訴人が右長時間労働を許容ないし黙認していた以上、控訴人に責任が生じないことにならないのはいうまでもない」

【最高裁:電通事件】

「業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当であり、使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は、使用者の上記注意義務の内容に従って、その権利を行使すべきである」

4.裁量労働制
4-2企画業務型裁量労働制 (労働基準法第38条の4)

適用するには、「対象事業場」「対象となる業務」「対象労働者」の意味するところの理解を深めた上でなければ適正な導入を行うことができません。また、導入後においても定期的な労基署への報告義務がありますので、組織の体制を整える必要があります。

1. 対象事業場

事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務」が行われる事業場です。
「事業の運営に関する事項」とは「指針」で示されています。

  1. ① 対象事業場の属する企業等に係る事業の運営に影響を及ぼす事項
  2. ② 当該事業場に係る事業の運営に影響を及ぼす独自の事業計画や営業計画であり、これらが行われる事業場
    1. イ.本社・本店である事業場
    2. ロ.当該企業等に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行われる事業場
      ・主要な製品・サービス等についての事業計画の決定等を行っている事業本部
      ・本社・本店の具体的な指示を受けることなく独自に、企業等が取り扱う主要な製品・サービス等についての事業計画の決定を行っている工場
    3. ハ.本社・本店の具体的指示を受けることなく独自に、支社・支店等に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす事業計画や営業計画の決定を行っている事業場
      ・本社・本店の具体的な指示を受ける事なく独自に、当該支社・支店等のみに係る事業活動の対象となる地域における生産、販売等についての事業計画や営業計画の決定等を行っている事業場
      ・本社・本店の具体的な指示を受ける事なく独自に、当該支社・支店等を含む複数の支社・支店等に係る事業活動の対象となる地域における生産、販売等についての事業計画や営業計画の決定等を行っている事業場

工場等で個別の製造等作業、作業の工程管理のみを行っている場合、本社・本店、支社・支店等の具体的指示を受けての個別の営業活動のみを行っている事業場は該当しないこととなります。

2. 対象となる業務

以下の4要件全てを充足する業務が該当します。

  1. ① 事業場の属する企業等に係る事業の運営に影響を及ぼす事項または当該事業に係る事業の運営に影響を及ぼす独自の事業計画や営業計画についての業務であること。
  2. ② 企画、立案、調査および分析の業務であること
    業務とは、部署が所管する業務ではなく、個々の労働者が使用者に遂行を命じられた業務をいいます。
    ・企画+立案、調査+分析、さらに企画、提言といった多様な業務パターンが予想される業務をいいます。
  3. ③ 業務遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があると客観的に判断される業務であること
  4. ④ 企画・立案・調査・分析という相互に関連し合う作業を、いつ、どのように行うか等についての広範な裁量が労働者に認められている業務であること

【対象とならない業務】
・日常的に使用者の具体的な指示の下に行われる業務
・あらかじめ使用者が業務の遂行方法等を示しており、詳細な手順に即して遂行することを指示されている業務

3. 対象となる労働者

対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者である必要があります。

  • ・対象労働者となり得る者の範囲を特定するために必要な職務経験年数、職能資格等の具体的な基準を明らかにする
  • ・知識、経験等を有しない労働者を含めて決議したとしても、労働時間のみなしの効果は生じないことに留意する
  • ・少なくとも3年~5年程度の職務経験を経た労働者について判断する

4. 労使委員会

導入要件を満たすものであることが必要です。

  1. ① 事業場ごとに設置すること
    ・導入事業場が複数あるときは、36協定の場合と同様に各事業場ごとになります。
  2. ② 賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し意見を述べることを目的とする委員会であること。
  3. ③ 使用者および当該事業場の労働者を代表する者を構成員とするものであること
    ・労使委員会の委員であること、委員になろうとしたことまたは委員としての正当な行為をしたことを理由とした不利益な取扱いをしないこと
  4. ④ 議事録が作成され、かつ保存されるとともに、当該事業場の労働者に対する周知が図られていること
  5. ⑤ 労使委員会の招集、定足数、議事その他労使委員会の運営について必要は事項に関する規程が定められていること
    ・規程の作成、変更について使用者は、労使委員会の同意を得なければならないこととされています。

5. 労使委員会の決議事項

所轄労働基準監督署へ届け出なければ、効果が生じません。委員会がその委員の5分の4以上の多数の議決により決議すべき事項が規定されています。

  1. ① 対象業務 企画、立案等を担当する経営企画、人事・労務、財務・経理、広報、営業企画、生産計画担当者等
  2. ② 対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者の範囲
    ・少なくとも大学卒業後3~5年程度の職務経験者以上の者
  3. ③ みなし労働時間の設定
    ・「所定労働時間」、通常法定時間外労働となるのが一般的状況であれば「法定の時間外労働時間」を設定します。
    ・「法定の時間外労働時間」と設定するのであれば、36協定の届出、毎月同じ時間の時間外労働のみなし時間として毎月一定の金額の時間外労働割増手当(裁量労働手当等)を支給することが妥当です。
    ・評価制度、賃金制度との関係性にも留意が必要です。
  4. ④ 健康および福祉を確保するための措置
    ・決議で定めることにより使用者が講ずること・・・在社時間の把握、それに基づく健康対策、安全配慮措置・相談・健康診断・休暇付与等を定めます。
  5. ⑤ 苦情の処理に関する措置
    ・決議で定めることにより使用者が講ずること・・・苦情の申出窓口、担当者、処理手続、方法等を定めます。
  6. ⑥ 不利益取扱いの禁止
    ・労働者を対象業務に就かせたときは、その時間労働したとみなすことについて当該労働者の同意を得なければならないことおよび当該同意をしなかった労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと。
    ・対象労働者の同意は、書面で労働者ごとに有効期間ごとに得ることおよび不同意者への不利益取扱い禁止と配置・処遇・同意撤回の手続等を定めます。
    ・対象労働者の同意とは、みなし労働となる裁量労働に就かせることについてであり、今月は同意する今日は同意しないというものではなく、包括的同意を意味します。
    ・対象労働者の同意について、有効期間ごとに同意を得るべきかについては異議のない者については自動更新も決議事項で定めます。
    ・対象労働者の同意の撤回について、決議事項により手続きを具体的に定めることが適当であるという指針からも、有効期間中は認めない定めも有効といえます。
  7. ⑦ 厚生労働者省令で定める事項
    ・有効期間(3年以内の期間が望ましい)、各種の措置の記録・同意書面の3年間の保存、決議変更の調査審議手続等を定めます。

6. 定期報告の制度

6か月以内に1回およびその後1年以内ごとに1回所定の様式により所轄労働基準監督署へ報告します。

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